※実際の操作をする前に、簡単に画面の紹介をします。  上の画面右側には、3本の白い横棒(バー)があります。  上から順に、<温度トラックバー><湿度トラックバー><水蒸気トラックバー>と呼びます。  このバーの左端に先の尖ったものがあります。これは<スライダー>といい、マウスボタンを  押しながら左右に移動することができます。  また、上の画面左側には3つの白丸ボタンがあります。  上から順に、<温度ボタン><湿度ボタン><水蒸気ボタン>と呼びます。  マウスでこのボタンを押すと中が黒く塗られ、そのものを一定(固定)にすることができます。  このボタンは3つの内の1つだけを選べます。  注意:引き続きこの解説をお読みになる場合は、トラックバーは全て左端つまり0にします。     また左のボタンは相対湿度が選ばれている(中が黒丸になっている)状態にして下さい。 ------------------------------------------------------------------------------------------ ●それでは、いろいろと操作してみましょう。 今あなたは室温0℃、湿度0%の寒くて、しかも異常に乾燥した部屋にいると仮定しましょう。  →いかになんでも、これでは寒すぎます。 @まず始めに、上段の<温度トラックバー>を右に移動してみましょう。  →部屋がだんだんと暖かくなってきました。温度が上昇すると共に、中央上のグラスが次第に   大きくなってきています。   このグラスは、その部屋に含むことができる最大の水蒸気量を視覚的に表現しています。   つまり温度が高くなれば、その部屋に含むことができる最大の水蒸気量も大きくなることが   分かります。  →あまり高くてもまずいので、とりあえず室温は20℃にセットしましょう。   <温度トラックバー>を20℃の位置にして下さい。 A暖かさはいいのですが、湿度は0%のままです。  このままでは人間ひからびてしまうので、次にこの部屋を加湿しましょう。  3番目の<水蒸気トラックバー>をゆっくり右へ移動します。  →グラスに水が注がれている状態が確認できましたか。   7gほど加湿すると部屋の湿度は40%になりました。まあまあです。  →この7gの水蒸気の量とは部屋1m3当りなので、実際8畳間(約30m3)では210g、   30坪の家全体(約300m3)では2100g(2.1kg)ということになります。  →画面に表示されている〔露点温度〕とは、その部屋(正確には物体)が6℃以下になると   結露しますよという合図です。 Bそれでは<温度トラックバー>を右に30℃まで上げてみましょう。  →湿度は40%一定ですが、水蒸気は12gになりました。 C逆に<温度トラックバー>を左に10℃まで下げてみましょう。  →湿度は同じ40%一定ですが、水蒸気は4gになりました。   このように湿度は一定(同じ値)であっても、部屋の温度が違うと水蒸気の量も違ってきます。   その意味でこの湿度を温度によって相対的に変化する湿度、つまり〔相対湿度〕と呼んでいます。   一般に湿度と言えばこの相対湿度を指します。 D今度は場所を変えて見ましょう。私達は冬の屋外にいます。   今朝はだいぶ冷え込んで、寒暖計をみると0℃、80%です。  それぞれの<トラックバー>を0℃、80%にセットしてみて下さい。  →水蒸気は4gになっています。   冬の屋外は湿度は80%もあるのにも係わらず、乾燥注意報がでることもあります。   これは水蒸気そのものの絶対量が4gと少ないからです。 E夏、連日の猛暑で、寒暖計はうなぎのぼり35℃、60%になっているぞ。  それぞれの<トラックバー>を35℃、60%にセットしてみて下さい。  →水蒸気は24gになっています。   夏の屋外は湿度が60%なのに、冬のように乾燥注意報はでません。   これは水蒸気そのものの絶対量が24gと冬に比べて6倍も多いからです。  →このように湿度何%だけでは、乾燥しているのか、湿気ているのか全く分かりません。   これは温度によって水蒸気を含むことができる最大量(湿度100%の時)が異なるためと、   空気が膨張あるいは収縮し、容積が変化してしまうためです。  →早い話、100円の5%は5円とすぐに計算できても、売り上げの5%といった場合には   売り上げ額が分からなければ実際いくらなのかは分かりません。  →補足:湿度の表現には他に空気の重さを基準とした絶対湿度(g/kg)による表現もあります。      空気の重さ1kg当たりで表現すれば、温度の違いによる誤解はありません。 この場合、相対湿度何%に変わって比較湿度何%と呼びます。 F話は変わって、今室内に10g(8畳間では約300g)の水蒸気があったとします。  <水蒸気トラックバー>を10gにセットして下さい。  次に、左側下段にある<水蒸気一定ボタン>をクリックして●マークします。(必ずやってね!!)  →<温度トラックバー>を左右に動かすと、湿度は逆の動きをします。  →つまり、ある一定量の水蒸気が存在する部屋では、温度が上がると湿度が下がり、   逆に温度が下がると湿度が上がります。(重要ですのでぜひ覚えておいて下さい!!)  ...ここまでの話は理解できましたか? Gさて、いよいよ【結露の話】です。  結露といえば「冬」のイメージですよね。  冬の昼間、仮に室温が20℃であったとしましょう。(水蒸気は10g一定のまま)  <温度トラックバー>を20℃にセットして下さい。  →湿度は58%、露点温度は11℃になっています。 H夜、寝る前に暖房を切り、ふとんの中に入り...室温は徐々に下がってゆきます...  覚えていますか? 「温度が下がると湿度は???.....そうです、上がります」。  →実際に<温度トラックバー>を下げていってみると、12℃で94%になりました。  →ちょうど露点温度の11℃に等しくなると、湿度は100%になります。   この100%の状態とは、もうこれ以上室内に水蒸気を含みきれない状態をいいます。 I断熱性の悪い建物や寒冷地では更に温度が下がり、仮に8℃までなったとすると、  →<温度トラックバー>8℃にセットして下さい。  →湿度は121%(実際は100%以上はないので)、残り21%分の水蒸気が水に変わります。   この現象を結露といいます。  →結露量としては2g(8畳間で約60g)の水蒸気(気体)が水(液体)になります。  →補足:実際の建物では、断熱性の小さい窓ガラス面、壁際にあるタンスの裏の壁そして   押し入れなど室内の温度(室温)よりも温度が低い場所に、いち早く結露が発生します。   窓ガラスのように水分を吸収しないものは、表面に汗をかいたようになりますが、木材や   布、壁紙などは素材に吸収されてしまうので、分かりにくい場合があります。〔表面結露〕    また、壁の中や材料の中で結露する目に見えない結露を〔内部結露〕といいます。 Jやがて、朝がきて太陽も昇り昼になると、室内の温度も上昇します。  室内の温度が22℃になったとすると、  →<温度トラックバー>を22℃にセットします。(水蒸気は10g一定のまま)  →湿度は52%になり、いつしかガラス窓の結露も消えてしまいます。   これは一度結露した水が、再び水蒸気となって室内に漂っているだけで、また夜になれば結露が   発生します。このような発生したり消えたりする一時的な結露を〔非定常結露〕といいます。 K仮にその家の奥さんが寒いので窓を締め切ったまま、4kgの水分を含んだ洗濯物を室内に干して  外出した場合、洗濯物が乾くにつれ室内に水蒸気が充満してきます。  水分4kgは4000gなので、それが30坪の家全体(約300m3)に広がったとすれば、  4000÷300≒13g/m3 水蒸気が増えたことになります。  →<水蒸気トラックバー>を10+13=23gのところにセットします。  →室内は露点温度に達し、結露水が4g(家全体で1200g)発生します。   どこに発生するかは定かでありませんが、比較的温度の低い窓ガラス面や北側の部屋、或いは   タンスや本箱の裏側などに多く見受けられます。内装表面に木材を多く使用した家では、   この木材が吸放湿するので多少緩和されます。  →補足:人間が家で生活する場合、水蒸気はいたるところで発生します。      調理(朝食800g/h)(昼食640g/h)(夕食950g/h)      浴室の床(500〜1500g/uh)      浴室の開閉(10〜20g/回)      湯上りの裸の乾燥(23〜30g/人)      人体(静座34g/h)(軽動作109g/h)(中動作158g/h)      就寝時(45〜55g/h)≒(一晩牛乳ビン2本分) L結露は冬の専売特許ではありません。夏、冷房した部屋やちょっと冷たい床下などでも発生する  危険性があります。特に夏の結露は温度が高く、木材腐朽菌が繁殖しやすい好条件になるので、  注意が必要です。 M結露を防止するための一般的な対策  1.発生した水蒸気は速やかに排出する。(最重要)  2.室内を暖かく保つ。(露点温度以上にする)  3.窓ガラスなどの結露水は速やかにふき取る。  4.冬季室内環境の目安(温度15〜22℃、湿度35〜55%)水蒸気量で7g/m3程度 N最後に、練習問題をひとつやってみましょう。(あくまでも仮定の話として)  問題:夏、8畳(約30m3)の部屋にエアコンを置いて、室内を27℃、70%一定に     運転した場合、1日当り約何リットルの結露水が出るかな?      但しエアコンの吹出し(フィン)温度は15℃とします。(結構冷たい空気が吹き出されます)  答え:1日に約3.6リットル(一升瓶2本)です。驚かれましたか?  回答1:27℃、70%の水蒸気量は<温度トラックバー>を動かして....18g/m3      15℃、100%の水蒸気量は<温度トラックバー>を動かして...13g/m3      室内の空気が一旦15℃に冷やされて(18−13)=5g/m3の結露水がでる。      従って1日では5g*30m3*24時間=3600g/日  回答2:まず<温度トラックバー>を27℃、70%にセットする。      次に、室内の温湿度が一定なので、水蒸気量<一定ボタン>をクリックして●マークする。      そして、<温度トラックバー>を15℃まで下げると、結露水5g/m3がでる。      あとは同じ要領ですね。